■心中に走るかは“紙一重” 橋口さんが忘れられない言葉
親の会を設立した橋口さんは現在、育児に悩む親の相談を受けたりするが、当時は「『発達障害』という言葉も聞いたことがなく、周囲にそういう子どもがいるとも知らなかった」時代。「周りにも心中未遂をした人はいて、そこに走るかは紙一重。今でもニュースを見る度に『あれは私だ』と思う」と話す。
心中未遂の1〜2週間後、保健室の先生から声をかけられたことが転機に。「『息子さんは純粋でいい子だが、何かしらの困りごとを抱えている。それはこれではないか』と、ADHDのパンフレットを見せてくれた。帰宅してインターネットで調べると、全てが当てはまり、謎が解けたような思い。そこから学校が動いて、児童相談所、主治医まで2カ月でつなげていただいた」と明かす。
息子が高校生の時、ADHDの告知とともに心中未遂を謝ったというが、「『覚えていない』と。私を思って言った気もするが、それ以上は踏み込んで聞けない。また、『妹には同じことをしないでね』と言われ、本当に彼に育てられたんだなと思う」。
橋口さんには、精神科医からの忘れられない言葉があるという。「お母さん、ここまで本当によく頑張りましたね。発達障害のある子どもを育てることはとても大変。よくここまで息子さんを育ててくれましたね。本当にありがとう」。
そうした経験を踏まえた上で、今悩む親たちへ向けて、「勇気を出して出演したのは『あなたと同じように悩んで、同じような経験をした人がいる』と伝えたいから。力になってくれる人が近くにいなくても、わかってくれる人は日本の中にいる。どうか諦めないで、助けを求めて欲しい」とメッセージを送る。
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