■人と動物が共生することの意味合いは

動物愛護法の目的とは
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 人と動物の関係は、実に複雑だ。一般的にペットと呼ばれる愛玩動物もいれば、動物園などで飼育される動物、研究用の実験動物、食肉などにするために飼育される畜産動物などもいる。実験動物、畜産動物については、最終的には人の手で殺すことになるだけに、動物愛護法とも切り分けながら考える必要が出てくる。島氏は「ペットと動物園の動物に関しては、動物愛護法でも『終生飼養』が努力義務になっている。実験動物、畜産動物に関しては、申し訳ないけど人間が利用させてもらうので、どこかの段階で死んでもらっている。動物愛護という言葉が何度も出てきたが、これからは『動物福祉』という言葉が大事だ。人間が利用することはやむを得ない。利用するにあたって、どういう基準で線引きをするのかも必要だが、仮に最小限(殺すことは)やむを得ないという時に、そこまではせめて幸せに暮らしてもらおうというところが、一歩進んだ動物福祉の考え方だ」と語った。

 保護犬をペットとして飼っている作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は、人間の死と動物の死を比べた。「人間相手だって、過失致死か故殺かは明確に分かれるわけではなくて、その時々の状況によって全然違う。警察取材をしていれば分かるが、そこはものすごく微妙な判断。警察が殺人で立件するのか、傷害致死になるのか、それとも偶然の過失致死なのか。そこを動物だからといって、くっきり分けるのは到底無理だ。そもそも動物を大事にするという倫理の問題もグラデーションが大きい。僕の知り合いの牛を飼っている農家だと、肉牛なので最終的には殺すけれど、ちゃんと名前をつける。名前をつけて大事に育てて、最後悲しくお別れするという段取りになっている。それは決して食べるのだから適当に扱えばいいという発想には全くならない。農家としてはすごく愛している。愛しているけど食べるという、なんとも言えない倫理と人間の原罪の狭間みたいなところで農家は生きている。そういう狭間の淡いがあるというのを我々は動物に対してもっと認識すべきじゃないか」。

 動物との共生権を訴える島氏は、法律にする上ではやはり人間の法益がポイントになると語った。「犯罪というのは保護法益が大事だ。法益を守るために罰則を作る。殺人であれば人の生命を守るため。窃盗であれば財物に対する占有を守るために窃盗罪がある。今、動物虐待関係の犯罪というのは何が保護法益かというと、動物愛護の気風という良俗を守るためになっている。だけど良俗を守るために厳罰化というのはものすごく曖昧。動物の権利というのも、極めてハードルが高い。そう考えると、動物愛護法というのは第一条に目的が、人と動物が共生する社会の実現を図ると書いてある。つまり人と動物が共生する社会が、人にとっての利益だと捉えることができる。伴侶動物、動物園動物、畜産動物、実験動物、さらに言えば野生動物。そういった動物と人が共生する社会はどんな社会なのかということを一つひとつ緻密に議論していかなきゃいけないと思う」。
(『ABEMA Prime』より)
 

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動物をいじめるな!相次ぐ虐待事件...厳罰化は必要?保護される動物格差も...
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