2024年から続くコメ不足により価格高騰が続く中、政府は備蓄米21万トンの放出を決定した。これまでに主食用として備蓄米が放出されたのは東日本大震災と熊本地震という震災時の緊急対応2回のみだ。しかし今回は「流通の円滑化」という史上初の目的だ。
政府は毎年20万トンのコメを買い入れ、全国300あまりの倉庫におよそ100万トンのコメを備蓄。100万トンは国内需要の2カ月弱に当たる量で、利用されずに5年経ったコメは飼料用などに使われるという。
コシヒカリ5kgの小売価格推移を見ると、去年と比べ2000円近くも高騰している。対策を講じてこなかった農林水産省がようやく重たい腰を上げ、放出を決定した「この半年余りの期間に『なんでもっと早く決断できなかったんだ』という批判は甘んじて受け止める。しかし他に手がない」(江藤拓農水大臣)
政治ジャーナリストの青山和弘氏によると、今回の決定は農水大臣も務めた石破茂総理の強い後押しがあったという。「石破総理は、昔からいわゆる農水族とは一線を画す改革論者。農家はいいコメを作れば、海外にも売れるんだから競争すべきと、補助金を出して生産量を減らす減反政策にも反対の立場。また今回、夏の参議院選挙への影響も考えて、コメの値段を下げるために動いたとの見方もある」(青山氏)
さらに青山氏は、石破総理への取材の中で「お米がこれだけ高騰しているので、国民生活の安定のために対応しろと農水省にはきつく指示した」「私はかねて食料安全保障の観点からも減反政策は転換すべきだと言ってきた。今回のコメ価格高騰は日本の農業政策を転換するチャンスかも知れない」「世界で食料不足が叫ばれているのに日本だけが税金を使って休耕田を作っているのはナンセンスだ」との回答を得たという。
「そろそろ減反政策で生産量を調整するよりも、作っていく時代。そして良い日本のお米を作れば、いま日本食ブームでもあるし海外に輸出もできるのではないか。石破総理も、いままで日本はお米を海外に輸出しようとちゃんと考えてこなかったのではないか。もっと売り込んだらいいと言っていた」(青山氏)
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