池村さんによると、20代・30代の担い手はおらず、「若い子は臭いものに敏感。みんなやりたがらない。臭いし、キツいし、本当に覚悟を決めないとできない」という。

 池太商店のくさや汁は、池村さんの曽祖父が150年前に知人から譲り受けて以来、継ぎ足して使い続けられている。「嫁入り道具みたいな感じでもらってきて、せっかくだから商売しようかと」と経緯を話す。

 くさやは諸説あるが、新島発祥とされ、江戸初期に本格的に生産が始まったとされる。そして、島の伝統として、汁は門外不出だ。「くさやのタレを結構みんな大事にしているので、他の人に譲りたくないのだと思う。親戚以外にはなかなか譲らないのが現状」だそうだ。

 池村さんいわく、「手に臭いが付いて、なかなか取れなくて、船とか飛行機に乗って携帯とかピコピコやっていると、隣の人が『何かくせーぞ』とキョロキョロする」との悩みもあるが、その臭いが味の決め手でもある。

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