■「誰かが隠しているという“フィクション”を作ったのでは」
21万トンを中間業者が売り渋っているとの政府見解について、自民党で元農水官僚の進藤金日子参議院議員は、「全国を回って農家の声をお聞きすると、通常は集荷団体に出していた生産者が、“中間団体に出す金額よりも高いお金で売ってくれ”と庭先に来るという話は聞く。2つ目に、流通不足になった時に備えておこう、価格が上がった時に出そう、という農家は正直いると思う。3つ目に、作況指数というものがあり、令和6年産は全国で101(平年並み)。ところが、籾摺りをしてみてみると、実態はそこまで取れていないのではないかという人もいる。これら複合要因の中で、21万トンが集荷団体に集まっていないのではないかと捉えている」と話す。
一方で、足りないことを認めたくないために、誰かが隠しているという“フィクション”を作ったとも指摘。21万トンは最大手コメ卸売業種の年間販売量に匹敵し、21億円の保管料がかかり、中小企業には負担も隠すこともできないこと。現在足りていないのは新米40トンを先食いしたため、との理由をあげる。
「民間在庫は、令和6年の6月末で153万トン。9月になると新米が出てくるので、7、8月に150万トンあれば極端な不足はないだろうと見ていた。ところが、南海トラフ地震に関連する情報が出てスーパーからコメがなくなり、生産者の在庫はあるものの、流通に回らなかったというのが正確なところだと思う。食料法に基づいて、農水省も流通を毎月調査しているが、大規模な集荷業者や卸業者に限られる。今回の事態を踏まえて、1月末から規模の小さいところも調査しようと言っていて、全体を追いきれていないのは確かだと思う」
■“稼げる農家”語るコメ不足の原因
