■減反政策は悪だった?「頭ごなしに否定するのは建設的な議論ではない」
コメの生産量増加で大量の在庫が発生したため、1969年に「減反政策」が開始された。その後50年経ち、生産者自らが需要に見合った生産を行える環境を整えるとして、2018年に廃止された。
徳本氏は「昨今メディアで、“長年の減反政策が悪かった”“輸出しろ”と、農水省を叩く識者がごろごろいるが、そんな単純なものではない。そもそも50年、コメはずっと余っていて、ここ何年かは地を這うような相場で同業者がバタバタ潰れていった。減反して、需要があるものを転作するのは理にかなっていることだ。“輸出すればよかった”というのも、そもそも一昔前はコメの生産コストが高すぎたし、日本の短粒種は海外ではまだまだニッチ。価格競争力がないものを輸出しても勝てない。減反政策はある種機能したもので、頭ごなしに否定するのは建設的な議論ではない」との考えを述べる。
水田を利用して飼料用米や麦、大豆などを生産した場合、交付金が支払われる(飼料用米10アール=100平方メートル当たり8万円、麦・大豆などは同3.5万円)。これまでは水張りが行われなくても交付されていたが、2027年度以降は、過去5年間に一度も水張りが行われていない農地は「交付対象農地から外す」と見直される。
徳本氏は「水田の産業政策は今まさに転換期。想像以上に農家は辞めていっていて、僕らは100町歩やっているが、翌年いきなり20町歩増えたりして、急激に田んぼが流動している。今までの水田の作り方、管理の仕方だと僕らも維持ができなくなってくるので、新しい技術革新は必要だ」とした。
■両氏の主張「コメの価値をもっと高く評価すべき」「コメ農家のスクラップ&ビルドを」
