労働時間と人事評価は比例する?
こちらは、今回調査を行った企業における労働時間と人事評価の関係性を表したグラフ。一般職では労働時間が長いほど、高い人事評価を得ていることが分かる。一方男性は8%賃金がアップすることもわかった。
企業の評価システムが生んでいた「子育てペナルティ」。奥山助教授は「この企業では育休や時短勤務を充実させ、女性が長く働ける環境が整っている」とした上で、「制度のおかげでどうしても男女の労働時間差が大きくなり、それが人事考課や昇進に響いている。子育てに関する制度を持っている多くの企業で抱えているジレンマではないか」と述べた。
一方で、企業側もそうせざるを得ない事情もあるという。
「どうしても現場で長く働いてもらわなければならないという需要があり、働いてくれた人を昇進という形で報いる必要があるのではないかと企業は感じている。私たちが直面している課題は労働不足みたいな大きい社会課題ともつながっているのでは」
現状の人事制度が優秀な人材の活用を妨げている可能性も示された今回の研究結果。奥山助教授は、人々のライフスタイルが変化する中で、これまでの制度の在り方を見直す必要があると指摘する。
「労働者がそれぞれ異なる事情を抱えて生きている。長時間労働をしなくても評価されてどんどん上に行けるというシステムは、子育て期のお母さんだけでなく、みんなにとって良いシステムになる」

