■新たな被害者を出さないためには
栗原氏は「女性が社会進出して、働くようになると、夫にも家事や育児をしてほしくなる。『やってくれない』とイライラの原因になり、暴力に至るケースもある。女性加害者には、過去に両親から虐待を受けたり、両親のケンカを見たりして、心の中に閉じ込めた怒りを、夫と子どもにぶつけてしまうケースもある」と背景を説明する。
幼いころの記憶から「『父親は気に入らないことがあると怒鳴っていた』から、怒るときの表現が分からない」ため、栗原氏のプログラムでは「怒りのコントロールや表現を学んでいる」と紹介する。「怒りの正体は、承認欲求が満たされない“悲しみ”だ。DV行為は『愛して』というSOSでもある」。
Aさんは「DV加害者は、被害者を下に見ている傾向があり、『一緒にカウンセリングへ行こう』と言っても、素直に聞いてくれない可能性もある。まずは『男性にもDV被害がある』と世間に伝わり、女性側の友人や上司、先輩から『それDVだよ。カウンセリング受けたら』と、自然に促される風潮になって欲しい」と願う。
近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は「夫婦関係は難しい。我慢が上手な人同士が結婚しても、より我慢できる人が我慢して、もう片方が怒るようになる。“ロールプレイング理論”と呼ばれるが、相対的な人間関係のなかで、根本的には病気ではないが、特定の人物との関係で甘えてしまい、暴言を吐くことはある」と語った。
(『ABEMA Prime』より)



