■7.4億円で売られ始めたアメリカの永住権

ゴールドカード
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 トランプ氏が打ち出したゴールドカード。現在出されている情報では、500万ドル(約7.4億円)を支払うと、永住権に加え将来的には市民権の獲得も視野に入っている。また資金さえあれば、特定の国籍要件はなく、具体的なビジネスを経営する必要もない。ただし年間180日以上のアメリカ滞在が必要になるのではという見方もある。

 アメリカへの移住やビジネス立ち上げをサポートするReinvent NY Inc代表の小野寺聡氏は、様々な要件を満たすことで取得できる「グリーンカード」と同等の効力を持つものだと説明する。「グリーンカードにはいくつか種類があり、雇用ベースのものや、結婚などで取得するものがある。投資で取得できるグリーンカードもあり、これに代わる制度として、今回トランプ氏がゴールドカードを打ち出した。グリーンカードの要件では80万ドル(1億2000万円)もしくは100万ドル(1億5000万円)のお金を投資して、アメリカの方を10人以上雇用するという要件がある」。今回のゴールドカードには、雇用などの要件がなく、500万ドルさえ払えばいいことになる。

 実際、購入者のニーズはあるものなのか。「対象の国が限られていない話が出ている。従来、アメリカと関係があまりよろしくない国では、グリーンカードや別のビザの申し込みができない前提があった中で、今回のものは、お金を支払いさえすれば取得できる。しかも永住権のみならず市民権まで取れる可能性も出ている。そうするとかなり対象が広がる」。敵対している国の人々が購入するというリスクも考えられるところだ。「まさにアメリカでも議論されている。市民権には投票権もあり、選挙にも投票できる。役所や政府関係で働くこともできるので、アメリカの内部の方に入っていくことができてしまう」

 なおグリーンカードには、特別な事情がない限り、年間の半分以上はアメリカに滞在していなければ剥奪されるといった要件があり、ゴールドカードにも同様の剥奪要件が付与されるのでは、という見方がされている。

■ゴールドカード、どこまで売れる?
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