内田氏によれば、EV開発に生き残りを模索していたホンダが、先行する日産のEV技術を必要として、2024年3月にEVなどの開発を協業しようと、ホンダから日産に話を持ちかけたのがはじまりだった。そこから話が進み、あっという間に経営統合へ。内田氏は「急いだ背景のひとつに台湾企業の存在がある」と解説する。

 その台湾企業が、電子機器製造会社「鴻海(ホンハイ)精密工業」だ。iPhoneの製造を請け負うホンハイは、そのノウハウを生かしてEVとAIが融合した車、SDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)の製造に着手。「タイヤの上にスマホが載っているような車」と表現されるSDVは、世界の自動車メーカーに新たな影響を与えると、期待されていた。

 もともと台湾に自動車メーカーを作るのが夢だったというホンハイが、目を付けたのがEVであり、日産だった。内田氏いわく、「ホンハイと日産が提携したら、ホンダにとっては元も子もない」といった事情と、「SDVをけん引し、世界市場を席巻するテスラ社の存在。その利益率は、もはやトヨタでもかなわない」ことから、ホンダは経営統合に急いだ。

 しかし、世界で9000人の人員削減などを掲げた日産の経営再建プランが進んでいない現状もあり、ホンダは日産の「子会社化」を提案したが、日産は反発した。「さまざまな理由がささやかれているが、本当のところは謎だ」(本田氏)。

社風・ものづくりの考え方に違い
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