アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談はなぜ“最悪の形”を迎えたのか? ロシア政治を専門とする慶應義塾大学の廣瀬陽子教授にその要因と今後の鍵を握るヨーロッパの動きなどについて聞いた。
両大統領の異例の“口論”について廣瀬教授は「これはウクライナにとってもアメリカにとっても本当に避けるべき悲劇であり、ヨーロッパにとっても非常に重く受け止められている」として、以下のように述べた。
「一部では『決裂はアメリカが仕組んだ』というような説もある。仕組まれたかはわからないが、ウクライナ側の努力で回避することはできたと言えると思う。アメリカ側が『通訳なしでやろう』とかなり強硬に言ったらしいとはいえ、やはり通訳を入れて行うべきだった。やはりゼレンスキー大統領はネイティブではないので、英語は上手ではあるが、表現が直接的で、いろいろな発言に“棘”があるということになってしまう。通訳が入れば、内容も丸くなり、必ずワンテンポ隙間が入ってくるので、互いに“やりあう”という展開は防げたと思う」
「さらに、ウクライナ側に明確な戦略がなかったと思う。その戦略を事前にヨーロッパ側とすり合わせて、かなり時間をかけて準備をしておくべきだった。さらに、シナリオをいくつか設定して、アメリカの出方に沿った形で落ち着いて対応できるような準備、さらに、石破総理の訪米の時の『トランプ大統領に明確に示せるようなデータ』などわかりやすい資料を準備しておくと、トランプ大統領が信じ込んでいるフェイクニュースなどもやんわりと修正できた可能性もある。これは非常に残念だった」
ウクライナの戦闘への影響は?
