ウクライナの戦闘への影響は?

 アメリカ支援の一時停止はウクライナの戦闘にも大きな影響を与えるのだろうか?

 廣瀬教授は「大きな影響を与えている。すでにUSAID(米国国際開発庁)の支援は止まっている。これは“人道的なもののみ”と考えられがちだが、戦場で傷ついた方の怪我などのサポートとかもUSAIDで行われていたので、直接戦場にも影響が出ている。また、アメリカの支援がどれだけこの戦争でウクライナを支えていたかを改めて認識させられるという展開にもなっている。特に今ウクライナはミサイル攻撃に相当苦しめられているが、それを迎撃するためにパトリオットはとても重要であり、またロシアを直接攻撃するためのATACMSなど、ウクライナの戦争維持にとても重要な兵器を相当程度アメリカが支援しているということもあるため、アメリカの代替をヨーロッパができるかというと、なかなかいかないのではないか。ヨーロッパだけの支援だと半年ぐらいしかウクライナはもたないのではという試算もあるほどで、相当厳しい展開になると思う」と分析した。

 ロシアがウクライナに侵攻したこと、つまり、「力による現状変更」を世界的に認めることになりかねないのでは?

 廣瀬教授は「まさにそうだ。力による現状変更を止めるために今まで世界は協調していたが、トランプ政権によって力による現状変更を次々に世界でやろうとしている。アメリカの要求を突きつけ、それが呑めないのであれば関税を上げるという形で経済力による、力による現状変更をやっている。ロシアは軍事力、アメリカは経済力で『とにかく強いものが力によって現状変更できるんだ、大国の政治でいいんだ』となってしまうと、やはり世界の方向性が相当混乱していく」と懸念を示した。

ヨーロッパが果たすべき役割とは?
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