■介護職の有効求人倍率が約14倍に

夜勤介護の実態
拡大する

 介護士の人手不足は深刻だ。2023年度、全職業の有効求人倍率は1.16に対し、訪問介護職については14.14倍と、まるで足りていない。これに追い打ちをかけるのが、いわゆる団塊の世代の高齢化で、結城氏は2025年を「介護崩壊の元年」と呼んでいる。「団塊世代の人は非常に人口が多い。70~74歳は要介護認定率が低いが、これが75歳からどっと認定率が増える。80歳になるともっと増える。これからどんどん要介護者が増えるが、それに対して介護職員が増えない。もう本当に需要と供給がアンバランスだ」と述べた。

 厚労省の調べでは、2022年度に約215万人いる介護職員数がこのままであれば、2026年度には必要数の約240万人に約25万人足らず、さらに2040年には約272万人に対して約57万人も足らない状況が訪れるという。事業者側も、慢性的な人手不足により希望者を全て受け入れることができず、むしろ利用者を“選定”せざるを得ない状況にもなっている。

 最近では介護ロボットの導入も進んでいるが、結城氏は過度な期待は禁物だと語る。「AIやロボットは、介護の負担を軽減することはできる。ただし10人でやっている仕事を8人というように、ロボットで2人いらなくなる技術はまだ日本にはない」。排泄・食事のケアは人が向き合う必要があり、人員不足解消の切り札にはなりえず、やはり待遇や労働環境の改善などを進め、人員不足そのものを解消する必要があると訴えた。

■これからは家庭内で介護の時代?
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