■これからは家庭内で介護の時代?
施設の利用希望者が思うように入れず、むしろ“選ばれる側”に回り始めている中、近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は「生前贈与」を推進し、自ら介護してくれる人を探す時代が到来していると述べた。「これだけ財政も逼迫しているし(介護士の待遇を)全産業平均まで上げるのは事実上不可能だ」と現状を見た上で、「我々は覚悟しなくてはいけない。逆に家庭で面倒を見る人たちをどうサポートするかとか、発想を変えていかないとダメなのでは。そういう方々については生前贈与、要は相続税の軽減だ」と、家庭内で介護できる環境づくりを進めるべきだと提案した。
続けて夏野氏は「今、2000兆円の個人金融資産があって、この65%を60歳以上の人が持っている。これから2~30年の間に全部相続が発生するが、ある程度資産を持っているなら、生前贈与で相続税をかけないとしたら、家庭で面倒を見るという選択肢も出てくる可能性がある。そういう複合的なことをやっていかないとダメ。僕は生前贈与を他人にするのも、税制上のメリットをつけることは可能だと思う。今、贈与税は110万円以下が無税になっているが、介護をしてもらう代わりに500万円くらいまでは全然関係ない人でも贈与税がかからずに移転できるようにすればいい」。
また結城氏は別の案として、高齢者を次の世代が支える「世代間扶養」ではなく、同世代同士が支え合う「世代内扶養」を提案。比較的余裕がある高齢者の資産を再分配し、介護を受ける可能性が高い高齢者自身が相応の不安を担うというもので「お年寄り同士で助け合って社会保障をしてほしい」と述べていた。
(『ABEMA Prime』より)


