■1カ月足らずで全国規模になった「財務省解体デモ」

塚口洋佑氏
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 先月21日、財務省前で行われたデモをきっかけに、デモは各地に拡大。14日には全国10カ所の財務省や財務局前で全国一斉デモも予定されている。きっかけとなったデモを主催した、政治団体「新生民権党」代表の塚口洋佑氏は「本来であれば、もっと早くデモが起きるべきだった」という。内容の難しさから、なかなかマイクを持って外で話すというデモという行動には不向きと思われたが、ポイントは「103万円の壁」についての議論だったという。「去年の年末、(国民民主党)玉木さんが『103万円の壁』を178万円にすると3党合意に至ったのに、結局は反故にされ、スキャンダルも噴出した。国民の不満、活動する人の不満が沸点に至って、デモが起きたと思う。国民民主党が自公連立政権の中でキャスティングボードに入って、もう少し状況がよくなるかと思いきや、そう簡単にはいかず、これが最後の一押しでデモが始まった」。

 「財務省解体」というワードそのものは、塚口氏が掲げたものではなく、前回集まった人たちも、塚口氏の指示ではなく、SNSなどの拡散によって集まった人も多いという。「時流に乗ったという感じでは。私が一番訴えたいのは財政均衡主義を正していただきたいということ。『財務省解体』も、私は分割の方がいいと思っている。だから『解体』と言ってしまうと、なんでもいいからぶっ壊すみたいに誤解もされがちになる。ただ、やはりデモにはある程度言葉の勢いが必要になる。『解体』と『分割』と交互にコールをしても、やはり上品ぶっている感じになって、ノリはイマイチだった」。

 メディアでも取り上げられ、さらにはインフルエンサーによりネット上でも拡散。デモの規模に対しては異様とも言える速度で広まったことに、塚口氏は戸惑いすら感じるという。「逆にちょっと騒がれすぎ。そこに関しては若干の違和感を持っているぐらい。たとえば反ワクチン運動の人たちは、かなりの人を集めたが全然報道されなかった。だけど今回の財務省前デモは、全然そこまでの人数に到達していないのに、マスメディアにも扱われた。なんだかすごい騒ぎをやった感じで、違和感もある。デモは報道され、SNSでバズったりして、それでまたデモに参加する人が出て、その声を政治が拾う。今回、意外なほど早めに拾ってくれてびっくりした」。

■元財務官僚「財務省に対するバッシング、批判は増えて、強くなっている」
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