1歳で脳性麻痺と診断され、知的障害から話すことができない林田亜紀さん(50)。この2、3年で、1人で歩くことも難しくなってきた。そんな亜紀さんを介護するのは、父・勝美さん(76)と母・絹子さん(76)。こうした高齢の親が障害のある子を介護する「老障介護」が、今増えている。
「80歳までは大丈夫だろう。急に入院したり、倒れたりしたら、面倒を見られなくなる。その時預かってくれるところを探しておかないと」と語る、勝美さん。亜紀さんが暮らす施設を探しているが、全国で施設が足りず、多くの障害者が順番待ちの状態だ。さらに、亜紀さんの場合は、コロナで喉を手術したことなど、十分な医療体制も条件の1つとなり、施設探しはより難しくなっているという。
現在は週4日、デイサービスで食事や入浴などの介護支援を利用。その間に、勝美さんが家事をこなす。腰痛で動けない絹子さんは「ちゃんとしたところに預けられないと死ねない」と話す。
家事を終えた勝美さんは、健康を保つために日課の散歩へ出掛ける。9年前に胃がんの手術をして、大好きだった酒もやめた。「私らが面倒見られなくなるまで見る。健康であれば、90歳になっても面倒を見たい」。
亜紀さんの今後として、2つのプランを考えている。1つ目は、自宅から車で約2時間の施設(医師、看護師常時対応可)に入所すること。去年夏からショートステイで試しており、亜紀さんに問題なければ申し込む(入所時期未定)。もう1つが、亜紀さんの姉が両親ともども面倒を見ること。ただ、これは最近出てきた話で、すべてがこれからだそうだ。
■入所は順番待ちの実情…「空くかどうかは運に任せるような状態」
