■入所は順番待ちの実情…「空くかどうかは運に任せるような状態」

 林田さんのような家族の思いとは裏腹に、施設側には障害者が順番待ちせざるを得ない実情がある。大阪府岸和田市にある障害者支援施設・山直(やまだい)ホームは、入所者用の定員40床が満床だ。残りは一時的に入所出来るショートステイ用の10床で、新たに入所するには今の入所者の死後、または移転での空きを待つしかない。

山直ホーム 待機者数は134人
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 そこに来て、「老障介護」の相談が増えている。親の死去や、体力的な問題など悩みが多く、中には行き場がなく限界ギリギリの人も。山直ホームに入所中のTさん(48)もそのひとりだ。彼は70代の母と2人暮らしだったが、母は末期がんだと判明し、そのわずか5日後に亡くなってしまった。身寄りがなかったが、偶然空きができたことで同施設に入所できた。

 老障介護を相談したい場合は、どこが窓口になるのか。山直ホームの施設長・叶原生人氏は、「まずは市役所。しかし、ほとんどの家族は『市役所では対応できない。自分で探して欲しい』と言われて、施設に直接相談してくることが多い」と説明する。

 山直ホームの入所待ちは現在134人。助けが必要な人はまだまだいるという。「部屋が突然空く場合もあり、運に任せるような状態だ。高齢化で状況はより深刻になり、待機者の増加につながるのではないか」。

■叶原さんが考える問題点
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