君塚さんの「消えた子」状態は、父の体調不良をきっかけに解消することになる。父の仕事がようやく決まり、アパートも借りて学校にも通うことが決まった小学4年生の時だ。「父親をデパートの待合室で待っていたら、父が倒れた。救急隊員の人が『君はどこの子だい?』となって、ようやく社会に見つけてもらえた」。父は脳梗塞で入院、君塚さんは一時、児童相談所に保護された後、児童養護施設に移った。父は小学5年生の時に他界した。

 当時の生活を、君塚さんは「普通ではない」と振り返る。「小学5年生からようやくみんなと学校に通うようになったが、周りは親がいて、ご飯も毎日食べられて、お風呂も入れて、温かい家で寝られて。僕は厳しい環境、普通じゃない環境だったが、あれは繰り返してはいけない」。

■なぜ「消えた子」が探されないのか
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