■なぜ「消えた子」が探されないのか
ある日突然、学校に子どもが来なくなったら、すぐに気づき、かつ見つかりそうなイメージもあるが、事態は簡単ではなく、むしろ複雑な事情がいくつも絡む。石川氏は「もともと住民登録をしている住所から出てしまうと、行政は探しようがない。それこそ親の借金で夜逃げしたのか、親が誰かを好きになって子どもを連れていなくなったのか。その理由がわからないと探しようもない。結局、子どもが放置される状況があっても、救いようのない現実がある」と語る。
たとえば虐待を受けて、児童相談所などが介入していたケースであれば、いなくなった子どものリスクが高いと想像ができる。このケースであれば、担当していた児童相談所から、情報連絡システムを用いて「こういう子どもがいなくなったが、おたくの県で心当たりはありますか」と連絡を取り合うという。ただし、何の兆候もなく、学校に通わなくなると、理由がわからず情報共有のしようもない。石川氏は「学校でいなくなれば、もちろん学校の先生や教育委員会も家庭訪問などをする。必要に応じて児童相談所や警察に相談することもする。明らかに事件性があれば児相も警察も動けるが、個人の自由で、子どもを連れて家を出てしまえば、それには介入も難しくなる」。我が子を「消えた子」にした親が、必ずしも探してほしくないこともある。
■児童相談所の実態
