ただし、親によって「消えた子」にされた側からすれば、納得がいくものではない。君塚さんは「例えば親が新しく好きな人ができたからとか、親の理由でというなら、子どもからしたら無責任というか、怒りしか感じない。もう行政としても、いなくなったら家庭訪問して、ダメだったらすぐに児童相談所に相談をして、何がなんでも子どもを探さないといけないと思う。親の理由で探さないというのは理不尽だ」。

 ただ、石川氏は児童相談所の苦しい事情も説明する。「児童相談所を長く取材しているが今、目の前に虐待を受けている子ども、大ケガをして死にそうになっている子どもの対応に、本当にいっぱいいっぱいだ。もしかしたらこのいなくなった子どもが何かひどい目にあっているかもしれないというのは『可能性ですよね』となる。病院のトリアージ(適切な順番で診察・治療をする)のようなもので、目の前にいる子供を優先的に対応せざるを得ない。消えた子供がどうなっているか、苦しい状況の可能性はあるが、そっちは可能性だから後回しになる」。

■新たな「消えた子」を生まないためには
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