就職氷河期世代に根付く「自己責任論」

年齢階層別貯蓄額
拡大する

 貯蓄にも影響している。

 永濱氏は「2023年はほとんどの世帯で株が上がったりして増えているが、唯一下がっているのが団塊ジュニア世代が入っている世代。資産形成でもかなり割を食っている」と話した。

 団塊ジュニア世代は採用が少なかったことで非正規の人が多かったというが、正社員になった人たちも割りを食ってきたのか?

「(団塊ジュニア世代の)前がバブル期の世代だったため、たくさん採用したことで上がつかえて、昇進しにくくなったり、さらに言うと、賃金自体も押し下げられたというところになると、正社員になった方でも割りを食ってきていると言える」

 他にも、リーマンショックやコロナ禍の世代と比べて特に不遇だった点はあるのだろうか?

 永濱氏は「やはり人数が多いことだ」と説明。

「団塊ジュニア世代が一番多かったが、年平均で200万人くらい。リーマンショックの時に就職した世代は大体130万人台に出生者が減っており、コロナ禍の時には110万人だから人手不足。やっぱり就職するときには団塊ジュニア世代が一番厳しかった」

 政府はどんな対策を講じたのか?

 永濱氏は「政府も2019年からいわゆる就職氷河期世代の支援プログラムをやっている。実はハローワークに専門の窓口があってマンツーマンでリスキリングから転職も含めて相談に乗ってくれる仕組みはある。だが残念ながら就職氷河期世代は当時『自己責任論』が流行ってけっこう卑屈に考えたり、なかなか1歩前に踏み出せない人が多い。となると、そういう窓口を作ってもなかなか相談に来る人が少ない」と実情を語った。

 とはいえ、最近では就職氷河期の問題が少しずつ注目はされるようになってきた。世の中の雰囲気が変わったのか? それとも別の課題があるのだろうか?

 永濱氏は「やはり世の中が変わってきたと思う。やはり一番大きいのが初任給がかなり上がってきている一方で、早期退職が増えていること。もう一つは国民民主党が就職氷河期世代をターゲットに支援をすると打ち出しをしたのも効果としては大きいのでは」と述べた。

 今もハローワークなどの支援などはあるが、他にはどのような支援が求められるのだろうか?

 永濱氏は「ある程度転職して新しい働き先を決めないと難しいと思う。だから転職者をたくさん採用した企業に優遇するとか。逆に言うと、転職とか新しく職に就いた人に対しては所得税の優遇をするとか。そういう策も効果的なのではないか」と提案した。
(『ABEMAヒルズ』より)
 

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【映像】「気持ち悪い」 小学校隣接の公園で性的ビデオ撮影
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