その“元祖”と言える人物は、1969年から1974年まで大統領をつとめたリチャード・ニクソン氏だ。2023年に行われた歴代大統領人気ランキング(1961年以降、米ギャラップ社の調査)では、いまなお最下位(支持率32%)。ちなみに、その上がトランプ氏だ(46%)。

 一方で、ニクソン氏には、歴史の教科書に載るほどの「偉業」が複数ある。泥沼化するベトナム戦争を終わらせ、「ニクソン・ショック」と呼ばれ為替を現在のような変動相場制に移行させた。アメリカ大統領として初となる中国への電撃訪問を行い、沖縄の日本返還も在任期間の出来事だった。

 しかしその裏には、自分の意見に異論を唱える部下を追い出し、怒り出すとモノを投げるなど短気な性格だった。外交記録にも残る、何をしでかすか分からない言動が、交渉の武器になったという。短気でも偉業を成し遂げられた理由として、篠田氏は「キッシンジャー氏とニクソン氏のコンビがうまく機能した」と分析する。

トランプ氏はニクソン氏を模倣?
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