■地域医療はもう崩壊寸前?
医師で日本医療法人協会の太田圭洋副会長は、「経営状況が悪いのは、診療所やクリニックではなく、入院患者を診たり手術をしたりする『病院』だ」とした上で、「昔からかなり悪かったが、経年的に進んでいる。2024年6月に診療報酬改訂が行われたが、その結果を受けてもだ。公立病院はほぼずっとマイナスで、補助金を入れるなどして地域の入院医療を支えてきたが、我々民間病院は資金繰りがつかなくなった段階で破綻。自治体病院も支えられなくなっている所が出始めている。稼働率が低いために経営状況が悪いのは当たり前だが、努力している病院でも成り立たなくなっている」と危機感をあらわにする。
医師会・6病院会が合同声明として国に要望したのは、「補助金による機動的な対応」「診療報酬の期中改定の必要性」、令和8年度診療報酬改定に向けた「『高齢化の伸びの範囲内に抑制』という社会保障予算の目安対応の廃止」「賃金・物価上昇に応じて適切に対応できる新たな診療報酬等の仕組み導入」だ。
太田氏は「診療報酬改訂は2年に1回あるが、臨時改訂をしていただけないかというのがまず一つ。これまで医療提供コスト、経費上昇分をあまり見ないかたちで改訂が行われてきた。物価が上がっていく局面に日本経済は入っている中で、しっかりそれらを見ていただける制度にしてほしい。診療報酬、医療費は社会保障の一部で、圧縮していかなくてはいけないという財政的な制約が優先されてきた歴史があるが、それを外してほしいと強く要望している」と述べた。
■維新議員「お金の多寡で医療に差がつき始めるという議論が必要なタイミング」
