■「改革する前に病院がなくなってしまうかもしれない」 今後の病院経営は

 経営難にある病院は、統廃合が現実的なのか。太田氏は「一定程度そうなることは間違いないと思う。国は2040年を目標に医療体制の改革を進めようといろいろな取り組みをしているが、今のペースで経営悪化が進むと、その前に病院がなくなってしまうかもしれない。また、医療へのアクセス問題もある。自分の町から病院がなくなって、隣の市まで行く必要が出てきた時に、その市の住民や首長などがどう考えるかという部分もある」との見方を示す。

5年間の経費の変化
拡大する

 さらに、「『来年、資金ショートを起こす』と言っている病院もあり、どこかが破綻して社会問題になるという事例が出てくると思う。いろいろなことがこれから起こり、国民は医療をどうやって支えていくのか、諦めるのかを否応なく考えることになると思う。本当に真剣な議論をお願いしたい」と訴えた。

 阿部氏も「キーワードは『再編』だと思っている」と指摘。「過疎化が進んで患者が来ない地域は統合していかなければならない、といった議論は避けられないと思う。病院の再編と、医者や看護師など医療従事者の職能の再編、製薬メーカーなど業界の再編。また、今までは保険財政の中だけで黒字か赤字かの商売をしてきたが、その外で稼いでいくといったような、お金の再編。それらが今後のキーになっていくのではないか」とする。

 その上で、「医療改革の議論は非常に難しくて、ミクロとマクロでは景色が全然変わってくる。マクロの議論をしている時には“やはりなんとかやらなければいけない”となるが、ミクロの話だと“隣町のクリニックにかかれなくなると不便で困る”といった話になる。そこの乖離が非常に大きいので、政治家のコミュニケーションで埋めていかなければならない」と示した。(『ABEMA Prime』より)
 

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