■業績と賃金を連動させれば「下がる」覚悟も持つべき?
実質賃金を国際的に比較した場合、1997年を「100」と基準にすると韓国が158.7、イギリスが133.6などに対し、日本は87.8と低い。内部留保600兆円という額を見ても、もう少し労働者の賃金に回せそうな印象を受ける人もいる中、構造的に簡単ではないと語るのは、近畿大学情報学研究所の所長を務め、経営者でもある夏野剛氏だ。「これは完全に構造的な問題。韓国、イギリスなどで業績が悪くなった時に何で調整するかといえば雇用だ。具体的に言うとレイオフもするし賃下げもする。その代わりに儲かっている時はものすごく払う。だから、ちょっとでも金融危機が起こると会社も簡単に潰れる。会社は潰れることが前提で、その代わりに役員も何十億、何百億ともらうし、IT企業なんかだと、普通の従業員がもう10億円とか20億円とかもらっているケースもある」。
しかし日本では雇用を守り、賃金を下げることにもハードルが設定されているため、雇用での調整がききにくいという。「不利益変更、例えば給料を下げるのは10%以上できないし、解雇規制もある。どんな状況でも、絶対に雇用を守らなきゃいけないということは、内部留保を貯めておかないといけない」。その上で会社の業績に基づいて賃上げを求めるのであれば「会社の業績が悪い時は賃下げも認めなきゃいけない。雇用調整もすることを認めないと、それは無理だ。また、内部留保が投資に回らない方がもっと深刻な問題。投資ですらリスクを伴うし、サラリーマン経営者だと現状維持ができるからと、投資をしなかったりする」と、企業が成長する上で必要な投資ですら、控えがちになっている現状を憂いた。
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