石黒氏 「アンドロイドは2000年ぐらいから作り始めて24、5年経つ。だんだん改良してきて、見かけや表情など、かなり人間らしくできるようになった。動きもだいぶ良くなって、そこに最近の大規模言語モデルやAIが出てきたので、しゃべる能力は格段に進んだ。しゃべることに関しても、ものすごく人間っぽくなった。表情やジェスチャーもつけるし、うっかりすると人間よりも表現力が豊か。しかも人間よりもちゃんとした答えを出す」。
―自分そっくりのアンドロイド「ジェミノイド」を作った意味は何か。
石黒氏 「2つ意味がある。1つは人間がなぜ人間らしいのか、どこが人間らしいのかを調べるため。自分のコピーがいたら、例えば目の動きを止めたらどれだけ人間らしくなくなるかとか、どういうジェスチャーだったら人間らしいとか、いろいろな比較実験ができる。そういう比較する対象として、人間性を考えるテストベッドとして作った。もう一つは、実際作ってみると、例えば僕の代わりに講演をやらせたり、最近では僕の代わりに全部質問に述べたりする、私の分身としてすごく便利だ。これからいろいろんな人がアバターを使っていくと思う。既にアバターはいろいろなところで登場しているが、その究極の姿として作った。最近僕は一緒によく取材を受けるが、僕のジェミノイドの方がちゃんとしゃべる。(ジェミノイドに)僕の書いた本を全部入力し、メディアのインタビューも全部入っている。僕は昔に書いた本、ちょっと前に書いた本もあまり覚えていない。AIの方が正確にちゃんと説明してくれるし、言ってはいけないことは絶対に言わないから炎上しない」。
■アンドロイド研究から考える人間に求められる進化
