―では、アンドロイドに感情はあるのか。

 石黒氏 「感情も、本当のところ人間もどこまで思っているのかが分かっていない。アンドロイドは人間の感情を持っているような『ふり』はできる。テレビに出ている人も、その笑いは本当の笑いなのか、ふりをしているだけなのか。アンドロイドもそうやって笑うことはできる。そういうことを考える材料がアンドロイドだ。本当の命は何か。命のどこが大事なのかというのを考える道具というか、きっかけを与えてくれるのがロボットだ。僕ら研究者は知識をどんどん蓄えたいと思う。その知識の一つが『命とは何か』という答えを探し求めることだ。だから命とは何かを考え続けていることが僕は人間の本当の生きる意味ではないかと思っている。それは進化するということでもあるし、いろいろな知識を吸収して、さらに高みに昇っていく。我々の活動の源というのは、人は何かとか、社会は何かとか、命は何かということを考え続けること。それが僕は人間だと思う」。

―人間が大きな間違いをロボットにさせることもできてしまい、それはすごく怖いこともでもある。

 石黒氏 「基本的に我々はもっと進化していかないといけない。例えば地球に何かあった時には、人間は亡くなってしまうかもしれない。コロナのようなものがまた来た時に、もっと進んだテクノロジーがないと我々は生き延びられないかもしれない。テクノロジーが強大になっていくと、悪い使い方ももちろん出てくる。でもそれを使う時に高い倫理観を持っていかないと我々は進化できない。だから倫理的にも哲学的にも人間は進化しないと本当の進化にはならない。核もそうだ。AIよりも、はるかに核の方が危なくて怖いと思う。でもすでに我々は持っている。それを抑制しながら、さらにそれを、すごいテクノロジー、例えば核融合の技術を作って無限のエネルギーを手にしていく。そういうことが大事だ。だから、技術をどんどん進化させながら、哲学的にも道徳的にも人間は進化していく必要があると思う」。
(『ABEMA Prime』より)
 

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