■再開発のタワマン化はやむを得ず?

牧野知弘氏
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 不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏が、各地で進められている「市街地再開発事業」について説明する。「駅前の商店や住宅、工場を1軒ずつ建て替えるのは難しい。そこでそれぞれの不動産の持ち主が、土地と建物を持ち寄って組合を作る。その組合が事業主になって、建物を建てる」といった仕組みで、「土地と建物を拠出した地権者にはお金がない。ならば組合が超高層ビルを建てて、権利者は今まで持っていた土地・建物の評価に合わせた床をあげる。地権者にとっては、タダで家が建て変わる」といったメリットがある。

 そして、超高層ビルにすることで、新たな床が生まれる。「それをデベロッパーが買うことで、全体の事業費をまかなう。この方式が全国で数多く行われていて、行政は容積率を上げる代わりに、建物内に公民館や図書館を作るよう求める。それでも地方では資金不足になるため、自治体が補助金を大量につぎ込んで、住宅地や商店街をキレイにして、防災にも役立てる」。そして、こうした現状においては、「出来上がるのは、タワマンか超高層ビルかのどちらかだ」と考察する。

 結果的に、再開発が行われている半数以上にタワマンが建設されているという報道もある。「ビルを建てられるところは非常に少ない。中野駅前でもオフィスは成り立つが、新宿や渋谷に大きなオフィスビルが建つなかで、中野は相対的に地位が落ち、賃料があまり取れない。建設費が上がれば、デベロッパーは『オフィスでは採算が取れないから、床を減らさないと』となる」。

■「“駅前タワマン方式”は時代に合わなくなっている」
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