10日未明、一律10%の税率は維持した上で、「相互関税」の上乗せ分については、90日間停止すると表明したアメリカのトランプ大統領。
日本時間9日午後1時、アメリカは「相互関税」の第2弾を発動し、特定の国に対し上乗せ分の関税を適用。日本には24%、EUには20%など約60の国や地域に高い税率を課したばかりだった。
わずか13時間で大幅に方針転換した「相互関税」。75カ国以上がアメリカと接触を図り、解決策を交渉するよう求めてきたことから、トランプ大統領自身の強い提案で猶予を与えたと説明している。
「我々にはやるべき大きな任務がある。他の大統領では私のようなことはできないだろう」(トランプ大統領)
この一連の流れを受け、政治学者で東京都立大学准教授の佐藤信氏は以下のように分析する。
「政権内部でも批判的な声があったということが大きく、同時に、各国がアメリカ政府に対して、『自分たちを免除してくれないだろうか』とアプローチをしてきたことに、かなり満足げだったのではと思う。アメリカの国威、プライドのようなものを、有権者に対して示すこともトランプ大統領にとっては大事なこと。『各国がこんなに言い寄ってきている』ということが、有権者に好意的に見てもらえると考えているのだろう」
「今回は“一時停止”という扱いであるため、今後、個別の交渉が行われていく。各国と1対1のディールで、トランプ大統領は『これだけのものを引き出せたぞ』と、世論に対して訴えかけることをやっていくと思う」
一方で、1対1でアメリカと交渉する形になることで、各国の連帯は難しくなったという。
「各国が競争しあっても仕方がないので、落としどころについては国際社会で一定程度の一致が必要で、日本は主導してそれを作っていかなければならないと思う」
激しさ増す米中の“貿易戦争”
