■病院が手配したヘリが事故、6人が死傷

診療所ゼロの自治体
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 6日に起きたヘリの事故は、同日の午後0時半に福岡和白病院から医療搬送用ヘリが出発。午後1時半に長崎・対馬空港で患者を乗せて離陸したが、同1時47分にGPS信号が消失。同5時過ぎに巡視船が海上に浮かぶ機体、搭乗者を発見。後に3人の死亡が確認された。10日にヘリが海中から引き揚げられ、事故原因などが調査される見通しだ。

 患者を運ぶヘリには2種類があり「ドクターヘリ」は全国に計57機。救急医療用機器や薬品を搭載した厚労省認可のもので、国が最大9割、残りを都道府県が負担。費用は1カ所につき、年間で2億1000万円かかる。今回、事故が起きたのは民間が行う「医療搬送用ヘリ」で、事故機を含めて全国で4機。公的な補助金はなく、病院と航空会社の提携で運用される。費用はドクターヘリと同程度かかり、病院側が負担する。つまり、今回は福岡和白病院側が“自腹”を切って手配した医療搬送用ヘリで患者を救おうとしたところ、事故が起きたことになる。ヘリを1回手配するには数十万円から、場合によっては100万円を超えることもある。今回の患者は脳神経外科で、緊急手術を受ける必要があったという。

 立憲民主党の前代表で衆議院議員の泉健太氏は、福岡和白病院の対応を評価することから始めた。「今回の場合、まず素晴らしいのは福岡の病院が24時間365日救急を受け入れる病院だったということ。ドクターヘリは国からお金が出るが、民間ヘリは全部自腹。それでも地域の患者さんを救いたいと行った。今回は、地上で車でも走れたのにヘリを使ったわけでもなく、緊急性があって、しかも離島でヘリでしか行けない状況。そこには正当性があると思う」。

■患者を運ぶ最中に事故が…
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