一部では僻地に住むことで医療が受けにくいこと、また高齢者にどこまで対応するべきかという声も出ているが「僕らは国境離島というものを国で指定していて、離島を保護しよう、守っていこうという考え方だ。領土を守るためでもあるし、離島で暮らしている方は60万人ぐらいだが、一方で水産物の生産で言うと国全体の1割ぐらいにもなっている。医療は誰かに限らず利用できるのが基本で『あなたは使えません』なんていう話になったら、命に関わるし、大きな差別だと思う」と述べた。
救命救急士としてドクターヘリに乗り、僻地医療も経験した岩谷健志さんも離島の出身で、実体験としても難しさを知っている。「やはり人口が少なくなると、医療経済的に多数の医師を置くのは現実的に難しい。その中で必要とされるのが、総合診療や救急医療という分野。今回の事故でもあったように、脳外科など特殊な技術が必要な疾患も必ず存在する。手術や専門的な手技は、オンラインでは賄えない部分があるので、そこも課題だ」。
また、離島などの僻地に住む人々の心情として「そこで生まれ育った人たちの権利や、そこで生まれる価値観もすごく大事なもの。課題は多くあると思うが、何か少しでもこの事故をきっかけに、いい方向に日本が向かっていけばいい」とも語った。
■僻地医療の打開策は?
