教員不足が深刻な社会問題に

教員不足が深刻な社会問題に
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 文科省によると、2023年度に精神疾患で休職した教員は、公立の学校で合わせて過去最多の7119人にのぼり、その2割にあたる1430人がその後退職している。

 また、公立学校の教員採用試験の採用倍率が過去最低を更新するなど、教員不足が深刻な社会問題となりつつある。

 さらに、熱意があるふきこぼれ教員ほど、周囲との温度差に耐えられなくなり辞めてしまう、残念な事象が起きているとのこと。

「学校現場はなんだかんだいって公務員なので、やる気満々にやっているのが、ある意味馬鹿らしくなる瞬間がある。なぜなら給与は変わらないので。それでも自分は自分の思う教育、子どもたちのために、学校のために、教育のためにやっている方たちが、どこかで今度は寂しくなる」

 本来もっているやる気が活かせる環境を作るべき。ふきこぼれ教員こそ学校改革のキーマンと考えた坂田氏は2025年3月に「はみだし先生」を立ち上げる。

「『他校ではこういう事例があった』『うちでもやってみませんか』など、改革例みたいなものを共有できる。こんな事例で実は学校が変わった。こんなことをしたら、校長が『それだったら次年度試してみようか。今年度こうやってみようか』みたいなのが共有できるような会議」

 参加した“ふきこぼれ教員”は…。

「ふきこばれ教員のコミュニティは、私にとって命綱になりそうだなという感じ。学校のコミュニティの中だけだと、自分の気持ちを麻痺させないと多分最後までやっていける自信は正直ない。外部にコミュニティがあることで、自分自身の素直な気持ちが吐き出せるので、それなら続けていきたいな」(関東の中学校教員・トマトさん<仮名>)

 参加した現役のふきこぼれ教員たちから、上々の手応えを得た坂田氏。これから目指すのは、教員が辞めない環境作りだ。

「教育にかける思いとともに、自分の人生、自分を満たす側、その先に他者貢献という流れになっていくと、僕はふさわしいかなって思っているので、そんな環境を作っていけたらいいな」

“ふきこぼれ教員”が辞めてしまうという実態に「もったいない」
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