“ふきこぼれ教員”が辞めてしまうという実態に「もったいない」
この“ふきこぼれ教員”が辞めてしまうという実態に、教育経済学を専門とする慶應義塾大学の中室牧子教授は「もったいない」と話す。
「教員採用試験の倍率は年々ずっと下がり始めて、2000年ぐらいをピークにしてずっと下降してきた。例えば直近だと2024年、東京都の小学校の教員採用試験の倍率は1.7倍だと言われているが、大体、3倍を切るとお断りできないと教育業界でよく言われている。教員になりたい人は複数の都道府県で教員採用試験を受けるので、3つ受けて3つとも受かったらどれにしようかなとなる。1.7倍の倍率だと、受けてきた人をほとんど全員受け入れないといけないというような状況になってしまっていて、一部の自治体ではその教員の定員を割り込んでしまって、もう埋められないというようなところが出てきてしまっている。なのに、こんな意欲のある人が様々な理由で退職されてしまうというのは、もったいないというほかない」
教員が孤独や孤立感を覚えやすいような構造というのはあるのか。中室教授は次のような見解を示す。
「学校現場で分析、調査、研究とかをしているといつも感じるのが、教員の年齢構成に非常に歪みがあるということ。実際に文科省の統計でも示されているが、50代後半ぐらいのところに1つ山がある。40代はがくっと数が減って、20代の後半から若いところでもう1つ緩やかな山があるというような分布になっている。私が学校訪問で行くと、50代の先生と20代の先生しかいないような学校は結構あったりする。年齢が場合によっては親子のような感じで離れてしまったり、教員の労働市場の環境が入職時にかなり違うという状況もあるので、価値観のすり合わせがめちゃくちゃ難しい状況が、教員という職場で起きている。意欲を出してプレゼンテーションされたとしても、周囲の人にうまく伝わらなくて孤立感を抱えている先生がいるのではないか」
(『ABEMAヒルズ』より)
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