■「80年談話を出さないのは損!」
山梨学院大学の小菅信子教授は反対に、「80年談話を出さないのは損だ」と考えている。10年ごとに出してきた流れを止めることで「謝罪に終止符」「大戦に向き合っていない」など、不要なメッセージの発信になりかねず、不健全なナショナリズムに走る恐れがあるとする。また、「国民に対する戦争責任も忘れてはいけない」「傷ついた国民に対する慰労も必要」といった理由から、日本国民にもメッセージを出すべきだと考える。
加えて、国際情勢の変化もある。「村山談話や70年談話の頃には、日本は大国で、中国はまだまだだった。しかし今は、中国は大きくなり、韓国も力を付けてきた。80年談話を出さなければ出さないで、“外交儀礼”のような形でクレームを付けるだろう。これまで10年ずつ出してきたのだから、今回も出した方がいい」。
談話を出さないことが、異なるメッセージを伝える可能性について、八木氏は「そもそも歴史認識は外交の武器にされてきた。日本は、近隣諸国からの要求を無力化して、主権国家として渡り合えなければならない。そのためには、とくに戦前・戦中に日本が行った行為や、行ったとされる行為が、ノドに突っかかったトゲのようになっていた」と振り返る。
八木氏によると、安倍内閣は「和解と歴史問題の解決」に取り組んだという。「慰安婦問題では、河野談話を検証して、いわゆる強制連行を裏付ける証拠や資料はなかったと確認し、日韓合意も行った。アメリカとの間でも、オバマ元大統領の広島訪問や、安倍総理の真珠湾訪問で、完全に和解した。だから『70年談話でしめくくり』となった」。
■「次は100年の時に出したらいいかもしれない」
