実際に“教育の質”をどう測るか?

中室牧子教授
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 しかし、実際に“教育の質”を測るためには、大きな課題があるという。

「文科省の説明にあったのは、最初はbe動詞しかわからない、四則演算しかできないかもしれないが、『4年間経ったらここまで伸びていました』という、その伸びで測るということだった。果たして、4年間の伸びで見ていいのか、卒業した後にどう役に立ったのか、あるいは管理職になった時に大学で学んだ技術やスキルが活かされたのかどうか、そういう視点は持たなくていいのか」

「教育の効果はすぐ出ないため、長期的に同じ個人を追跡していくような仕組みを取らなければいけないが、今の文教行政が持っているようなデータは、同一個人を長期的に追跡したようなものは、特に高等教育の卒業者に関してはほとんどないという状況。どうやって測ろうとするのかを聞いたが、これから中教審(文科省の中央教育審議会)で議論するというような回答だった」

「同一個人を入学の時から卒業まで、そして卒業してからその後についてもずっと追跡していくことが教育の成果を分析するためには絶対に必要なことだが、そういうデータを取れてない。海外のデータだと、入学の時点での学力、どこの大学に落ちてどこの大学に受かったか、そして4年間で卒業できたのか、その間にどんな成績を取ってどんな単位を取ったのか、卒業した後どこに就職してどれぐらい稼いでいるのか、というようなことが、同じ個人のデータとして連携されて学術研究に利用できるようになっている。日本にはそういうデータがないので、結局、理想の姿を述べて議論することしかできていない。データを使った検証ができないので、文科省の議論も財務省の議論も、空中戦というか、ちゃんと噛み合っていない」

(『ABEMAヒルズ』より)

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