■国家資格と民間資格の違いは?
「公認心理師の会」の理事で、筑波大学教授の原田隆之氏が、“カウンセラー”の種類を説明する。「数年前に『公認心理師』という国家資格ができた。それ以前からある『臨床心理士』は民間資格だが、大学院を出てからしか取れないレベルだ。そのほか、学会や認定協会による資格が乱立している。学会のものはそれなりにハードルが高いが、中には『数時間の講座を受ければ取れる』『自分で名乗っているだけ』のものもある」。
その上で、民間資格のカウンセラーが抱える問題点として、「カウンセラーは、お金を取って、ひとさまの心の中にズカズカと入っていく。メンタルが弱っている相手が多く、十分な知識や技能がないと、二次被害や自殺、自傷に行ってしまうこともある。そうしたことに責任を負えないのは問題だ」と指摘する。
国家資格と民間資格には、どのような違いがあるのだろう。「公認心理師は“名称独占”で、資格を持っていない人は名乗れない。ただ“業務独占”ではないため、誰でも業務できる。医師や弁護士は業務独占だが、公認心理師の仕事は誰でもできてしまうのが、この国家資格の弱いところだ」。
民間資格のカウンセラーとの違いについては、「我々は、単に話を聞くだけではなく、『本人も気づいていない、もっと大きな心の病があるかもしれない』とアセスメントしている。『重大な問題がないか』『ライトな相談か』は、専門家だからこそ判断できる。十分に知識がないカウンセラーが、『この人は元気そうだ』と軽く捉えて、スルーしてしまうのは危険だ」と警鐘を鳴らす。
■「一般の人々も『どこに公認心理師がいるのか』と感じている」
