■「一般の人々も『どこに公認心理師がいるのか』と感じている」

心理カウンセリングの資格
拡大する

 問題視された書籍をめぐり、出版社の三笠書房は「事前告知の限られた情報の中で、ご不快な思いをされた方がいらっしゃった事実について、お詫び申し上げます」、著者は「差別意識や偏見などはまったくありません」「お伝えしたかったことは、『知ることの大切さ』」「表現方法について、もう少し慎重に検討を重ねるべきであった」とコメントしている。

 “スーパーカウンセラー”を名乗る著者を、原田氏はどう見ているのだろう。「私は大学でカウンセリングをしているが、料金は数千円だ。しかし著者は、その10倍を取っている。保険適用できない部分もあり、言ったもん勝ち。『スーパーカウンセラーだから2万〜3万円取ります』がありな世界だ」。

 ジャーナリストの堀潤氏は「医師だと医師法など、リスクや責任の取り方が定められている。民間でカウンセラーを名乗り、なにかトラブルがあったときに、裁くための所管がどこになるのか。ユーザー側としては、曖昧だとおっかない」と心配する。

 カウンセラーのいのっちさんは、無資格のカウンセラーにも「プロの相談相手」としての良さがあると考えている。「誰かに相談したい時に、我々のような民間カウンセラーに相談してもらう。『いったん落ち着こう』『見つめ直そう』と話すが、不眠や食欲不振などがあれば、我々の手に負えないため、専門機関を受診するよう勧める。悩む人の窓口になっている」。

 公認心理師の有資格者は増やせないのか。原田氏によると、「いま7万人程度いるが、日本に34〜35万人いる医師と比べると少ない。開業するにもビジネスとして安定しない。スクールカウンセラーは99%非常勤で、週3回くらいを掛け持ちしている。身分が安定しないため、一般の人々も『どこに公認心理師がいるのか』と感じている」という。

■カウンセリング普及率は日本で6%…「質の向上も大きな課題」
この記事の写真をみる(4枚)