栃木県鹿沼市の小林醸造は、廃校になった小学校をリノベーションして、酒蔵を作った。もともと2代続く「小林酒店(小売業)」を営んでいたが、県内の酒蔵を事業承継して「小林醸造」を創業。2024年7月に、廃校をリノベし、客が自分好みの酒を作れる「オーダーメイド主体」の酒蔵を作った。
オーダーメイドは20万円からで、米の品種や精米具合、こうじの種類などを細かく指定できる。酒造りを体験しながら、自分だけの日本酒を造れるのが特徴だ。蒸した米を広げて冷やし、酵母へ入れて発酵させると、1カ月後には日本酒になる。スタートから1年もたっていないが、現在70件ほどの依頼があるという。
そんな小林醸造だが、酒蔵づくりまでには高い壁があった。それが「清酒製造免許」だ。国は日本酒の消費量が減っていることを理由に、新規免許を70年間発行していない。そのため新規参入は、廃業を考えている酒蔵を買収する方法しかない。
小林醸造も栃木県の酒蔵を事業承継して、やっと新規参入できた。小林一三代表によると、昭和30年(1955年)に3000件あった免許は、いまや1500件になっている。「その半分が赤字か経営難だ。清酒の酒蔵は地元の有力者や権力者が多く、身売りするのが嫌で廃業する人が多い。だから免許が出てくることも珍しい」。
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