■「作業の時間が限られてくるという大きな問題」
地球30周分にのぼる上下水の“全整備”は不可能なのだろうか。水道管は総延長74万kmで、地球18周分の長さだ。そのうち約22%(17万km)が、すでに法定耐用年数(40年)を超えていて、10年後は約41%、20年後は約66%にまで高まる。下水道も総延長49万km、地球12周分の長さを持つ。こちらは耐用年数(50年)を超えているのは約7%(3万km)だが、10年後は19%、20年後は40%になると想定されている。
水道管工事で最大の障壁は、「道路の下に管が潜っていること」にあるという。「昼間の道路を全面通行止めにして工事できず、結果として夜間作業になる。作業の時間が限られてくるという大きな問題がある」。
どのようにメンテナンスしているのか。「上水道は道路に近いため、少しでも水漏れしていると、周囲より温度が低くなる。最新技術では、AIなどで補正をかけて診断するが、それにはお金がかかる」。
金銭面のデメリットから「なんでも最新技術を導入すればいいわけではない。特に上水道は、京都の事故のように水があふれると大変だが、あれで人が亡くなることはない」として、「変に調査にお金をかけるより、水漏れが起きたら、緊急の事後対策として1~2日で復旧する体制とするのも、選択肢の一つだ」と提案した。
■「人口が減った分だけ取捨選択するのが大事」
