■30年続く選択的夫婦別姓の議論
長年にわたり議論が続いている選択的夫婦別姓。導入した際の主な懸念としては「家族名が消える」「家族単位の社会制度が崩壊する」「子どもの氏が親・兄弟間で異なる」「同氏、別氏、通称使用の混在により混乱する」「戸籍制度に立脚する多数の法・制度の見直し」などがあげられている。現在日本では結婚の際、女性が姓を変えるケースが90%を超えている。姓が変わることで影響が大きいと言われるケースとしては研究者が多く、またカルモニー代表の岩澤直美氏は「研究者だけではなくて、私の周りには夫婦別姓が実現するまで結婚したくない人も結構いる。結婚しないとなかなか子供が産みづらい中、弊害にもなっている。少子化対策と言いながらも家族を応援するようなことを若い世代にしていない」と指摘した。
野党5党で法案を提出したのは今から3年前の2022年。今回、立憲民主党が独自に出したものは、法制審議会が1996年に答申した案を踏まえた内容になっている。立憲民主党で選択的夫婦別姓実現本部の事務局長を務める黒岩宇洋衆議院議員は「ポイントは子どもの姓で、これをどのタイミングで決めるかすごく議論があった。22年案では産まれた時にその都度子どもの氏を決めるものだったので、ともすれば第1子は父親の氏、第2子は母親の氏と兄弟・姉妹で氏が異なった。今回は1996年の法制審案と同じで結婚した時に子どもの氏を決めるもので、これであれば兄弟・姉妹の氏が一緒になる」と説明した。
3年前と衆議院の状況は異なり、現在は野党が過半数。法案を通す大きなチャンスと思われる中、なぜ単独で独自案を提出したのか。「今の時点で日本維新の会も国民民主党も独自案だという。多様な案があるので共同提出ではなく各々出して、それを国会で議論することに意味があるだろうと、我々はあえて単独で出すという選択をした。他党にいい案があれば中身によってはその案に参戦することもある」と、各党へ説明し理解を得ようとするだけではなく、他党の案も取り入れる柔軟な対応をすると述べた。
■野党でも違う法案が
