宗教×政治 Z世代の女性が離れる一方…男性は“真逆の行動”

Z世代の信仰心⋯男女間に差?
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 ピューリサーチセンターの2023~2024年の調べによると、アメリカのカトリック教徒の人口は、アメリカの人口のうちキリスト教信者は62%(2億4460万人)いる中で、プロテスタントの人口が40%(1億3200万人)、カトリックが19%(6600万人)となっている。さらに詳しく見ていくと、カトリック信者の53%が共和党を支持し、43%が民主党を支持しているという結果となり、必ずしもカトリック信者=共和党ではないことがわかる。

 アメリカの歴史の中でカトリック信者だった大統領は、J・F・ケネディ大統領とバイデン大統領の2名でともに民主党だ。一方、トランプ大統領はプロテスタント信者で、バンス副大統領はカトリックと、政治家も宗教と密接に繋がっている。

 宗教が支持する政党に影響することについて、米重氏は以下のように述べた。

「宗教というものが、自分たちの集団をある意味代表すると定義するような存在として、政治や選挙に大きく影響するケースがある。日本に住んでいると、例えば、仏教だからこの政党を指示するという発想は、あまりないと思うが、アメリカやヨーロッパでは、宗教が投票先の選定に結構影響する」

 Z世代のキリスト教徒の間では、この力学がはっきりと表れている。アメリカ生活調査センターの調査では、無宗教であると回答した世代別の男女比が、Z世代、特に女性で驚くべき早さで教会を離れている一方で男性は教会に留まっているという点が指摘されている。このようにアメリカ国民の宗教観が変化している中、トランプ政権と新教皇の距離も変化していくのか、トランプ大統領は、どのように新教皇と向き合っていくのか。さじ加減が非常に難しい局面を迎えている。

 このような現状について、津山氏は次のような見解を示した。

「2024年、トランプ氏の選挙集会に何回か行ったが、そこで出会ったZ世代(大学生の男性たち)は、経済のことを心配していた。(バイデンの経済の中では)自分たちが自分の親のように車を2台持ったり、あるいは家を買ったりできない。だから、トランプ氏を支持して投票すると言っていて、そういうZ世代の男性を中心とした保守化の傾向をトランプ氏と選挙営は先読みしていたと思う。ただ、ここに来て、反対の立場の政治的思想を持った教皇が誕生したため、仲良くして、さらにカトリック教信者だけではなく、キリスト教の信者の票田を広げていこうという考えは絶対にあると思う」

 また、最近になって改宗してカトリックとなったバンス副大統領について、津山氏は「うがった考え方かもしれない」と前置きし、次のように述べた。

「彼がカトリック信者になったのは2019年で、2023年に上院議員に当選している。そのときに人工妊娠・中絶に反対であるカトリック教の立場などを利用して、自分の政治的キャリアに役立てていこうと考えていたと思う」

トランプ大統領と考え方異なる教皇選出は「歴史の皮肉」
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