安田監督は2年前、コメ農家だった父親が亡くなったことで、京都の実家で農家を継ぐことになった。監督業を続けながら初めて行うコメ作りに悪戦苦闘し、コメ作りのリアルを知った。

「父について稲刈りなど手伝った気にはなっていた。冬の田起こしとか、田んぼの横に生えた草を地道にクワで取るとか、ジャンボタニシと戦ったりとか、草刈りしても、もう無数にやることがある。一見のどかな感じに見える。田植えの農家って季節の風物詩みたいな感じだけど、孤独感というか、一生懸命やるけども、生産的なのに非生産的なことをやっているような気持ちになってしまう。心が折れそうにはなる。

穂が生えた時の喜びとか、サラサラって稲が鳴っている音とか、トラクターで耕うんしている時に水と土が混ざってぐしゃぐしゃしている音、そういう小さな喜びが、新米を食べた時の喜びと同等に救いにはなっている」(安田監督)

映画『ごはん』で伝えたかったこと
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