■“当事者”野田聖子衆院議員「井関さんもイエローさんも過労」

 医療ケア児の長男(14)を持つ自民党の衆議院議員・野田聖子氏は、「国会で安楽死について少しずつ議論が起きているが、これは自らの意思。子どもたちは自らの意思で死を選ぶわけではないので、今回の投稿は筋違いの話をしている」と指摘。

野田聖子議員
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 一方、親が置かれる状況については、「私の場合、夫が仕事を辞めてくれて国会議員の仕事ができているが、大概は“お母さんが諦めなさい”と病院から申し渡される。数人の看護師がローテーションで行う仕事を、医療知識のない母親が1人でやるという現実を知っていただきたい。過労死が問題になっているが、井関さんもイエローさんもいわゆる普通の労働と同じ過労の状態だ。眠ったり1人で何かできる時間を確保したいというのが、私たちが法律を作った時の目的で、子どもが学校に行っている間に休息ができたり、働くことができるだろうと。そういう工夫をしていくことで社会と共存できるし、“こういう子がいるんだね”という寛容が生まれてくる」と語る。

 2021年9月、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、家族の離職を防止することを目的とした「医療的ケア児支援法」が施行された。国・地方公共団体などの責務を明らかにし、保健所や学校などに対する支援、家族の日常生活における支援を実施。医療的ケア児支援センターの設置や、地域ごとに医療的ケア児支援体制の整備を図り、来年の改正に向けて議論が始まった。

 野田氏は、「そもそも数年前までこの国に医療的ケア児という存在はなく、他の障害の歴史から比べると、窓口ができても知識がないだろうというのが1つ。また、福祉の方向性を国で決めても、残念ながら各地方自治体の私権がある。それをなるべく平準化したいと思って国で法律を作り、(医療的ケア児)支援センターを作ることで情報を横展開するという状況が、今ようやくついてきた。ただ、学校に行けない子どもがまだいること自体、義務教育の方針と反目し合っているので、そういうところから丁寧に法律を改正していきたいと思っている」と述べた。

■医療的ケア児の社会との繋がりは 一人暮らしはどう実現?
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