今後、日本の経済を成長させていくためには何が必要か。夏野氏は「労働人口の流動性を高めるための社会的セーフティーネットを作ること、そして子育て支援、この2つしかない」と語る。「過去に人口が減少しながら経済成長を実現した国はない。ものすごくチャレンジングなことだが、もう生産性を高くするしか選択肢がない。非効率な産業から効率のいい産業に労働力がシフトする。これまでの年功序列で長期雇用、終身雇用とは全く逆のことをやらなくてはいけないが、それができるか。税金が余っているのであれば、失業給付手当をものすごく厚くして労働人口の流動性を高めるべき。それから子育て世代に対する集中的な援助だ。子どもさえいたら収入がなくてもなんとかなるぐらいのことをやらないといけない」。
生産性向上や人的投資の重要性は多くの識者が認める一方、それを実行する政策決定の過程では、今の日本が抱える民主主義の構造的問題が立ちはだかるという。広木氏は夏野氏の意見に賛同しつつ、高齢者が増えた現在の日本における“民主主義の限界”についても語った。「生産性を上げていくのは、ど真ん中の大正解。ただそれを政策として、国の金をどう使うかを決めるかは民主主義によるものだ。財政で一番何に金を使っているかといえば社会保障。子どもは減り高齢化でお年寄りばかりが増えたため、医療費、年金、社会保障、結局そこに一番金を使う。これは『シルバー民主主義』だ。民主主義である以上、1人1票だし、単純に高齢者の比率が高くなれば、高齢者寄りの政策を打たざるを得ない。これが民主主義の限界だ」。
(『ABEMA Prime』より)
