■じっくり将来を考える期間も大学ならでは?
まず財務省から指摘された四則演算やbe動詞など、義務教育レベルの講義がある状況をどう考えるか。吉田塾代表・吉田昭久氏は、学び直しだとしても大学ではない場所でするべきだと訴える。「大学の役割はやはり高等教育機関。四則演算やbe動詞は大学でやるべきではない。小学校や中学校でつまずいた子たちの学び直しは否定しないが、大学がやることではない。都立高校のエンカレッジスクールやチャレンジスクールのようなところで学び直せばいい」。
NPO法人ほっとプラス理事を務める藤田孝典氏は、自ら大学で教鞭を取ることもある。「日本が貧しくなっているので、教育予算を削るところで大学がやり玉に上がってると思う」と切り出すと「いろいろな学生がいていいと思う。義務教育の時に、勉強の面白さがわからなかった子たちが、大学でようやく自分が専門として勉強したいものに出会い、そこでbe動詞が必要になれば、その時の意気込みは違う。大学でやるべきかどうかは置いておいて、いろいろな形の大学教育があってもいいと思う」と述べた。
コラムニストの河崎環氏は、いずれ大学が「スリム化されてどんどん淘汰されていく」ことを前提に、学生が将来を考えるモラトリアムにも意義があると語る。「少子化のトレンドにあり、誰もが望んだら大学に入れる時代が来てしまった。そして定員が余り『Fラン』と言われるようなものが整理されていくのは仕方ない。ただ大学で学ぶことは勉強一本じゃないところもあって、それがまだ許されているFランはワンダーランドでもある。私からすれば、すごくモラトリアムを受け止める場所として幸せな空間に思える」。大学によっては、地元企業への就職斡旋など手厚いサポートもあり、学生にとってのメリットを説いた。
■Fラン大学に求められる役割と投資
