■Fラン大学に求められる役割と投資
Fラン大学が担っている役割の一つとしては、今後さらに需要が高まると言われているエッセンシャルワーカー(介護・保育・福祉等)の人材育成も挙げられる。藤田氏は「私は社会福祉の分野にいて介護や保育、役所のケースワーカーを養成するっていう場所で働いているが、多くの学生は真面目。専門職養成として、偏差値がなかなか出てこない大学や専門学校の役割がある。偏差値には出てこない学生たちの評価を、社会全体がどうしていいかという答えを見出していない」と、偏差値という評価基準の枠外で育つ人材について触れた。
エッセンシャルワーカー育成だけを目的にするならば、大学ではなく専門学校でもいいが、藤田氏は「4年間ゆっくり考えるのもいい。早く知識を得て、すぐに出ていく子には専門学校が合っているが、ゆっくり考えていろいろな人脈を広げて、もしかしたら福祉は合わないのではと考えながらルートを辿ると考える場所、モラトリアムな期間はやはり大学にあっていい。エッセンシャルワーカーは本当に今、国が作りたい人材だ。社会が求める人材をどこの大学で、どこの学部で育てられるのか考える時期に来ている」とも述べた。
一方で国から助成金が出ている以上は、効率的な投資が求められるところだ。吉田氏は大学の評価の見直しを求めている。「税金の使い方という意味では、私学助成金がだいたい3000億円ぐらい。税の適正な使い方を考えると、大学に一律に渡してしまうのはちょっとまずいと思う。今は成果が見えにくい大学にも一律で渡しているので、そこはしっかり評価して各大学それぞれにあった額を出すべき。大学の目的は研究機関、教育機関の2本立て。まともに研究していない、年に1本も論文を書かないような先生がごろごろいる大学はどんどん削り、逆に論文は全然書かないけれど、ちゃんと生徒に資格を取らすようなところには金をつぎ込むべき」だと指摘した。
また、脳科学者の茂木健一郎氏も投資の集中を求める。「AIや生命科学、がんの撲滅など最先端科学においてはメリハリのある投資をしていただかないと、大学がもたない。おそらく財務省の議論もそこだろう。みんなに満遍なくというのもいいが、日本として戦略的に『ここには投資しましょう』というものは必要だ」。
(『ABEMA Prime』より)

