今回の攻撃に使用された「バンカーバスター」とはいったい何か。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「バンカーバスターというのは、爆弾の固有名詞ではなくて総称。地中貫通爆弾といって、上から落として、勢いで地中に深くめり込んで爆発する。地下に拠点がある、標的があるものを壊すための爆弾」と説明する。

 一般的な爆弾は、地表上空や地面に到達したところで爆発装置が機動し広範囲を破壊するが、バンカーバスターは、特殊な信管を使っているため着弾しても爆発せず、そのまま貫通し、地下深くで爆発する。では、なぜ地中を貫通させる爆弾が必要なのか。

 標的とされている「フォルドゥ核施設」は一見、何もない山岳地帯に見えるが、実は地下にウラン濃縮施設があるとみられている。一般的な爆弾では、地下の核施設に攻撃できないため地中深く貫通した上で、爆発させる必要があるのだ。

「空爆される前提の司令施設。濃縮ウランの半減期が長いので、汚染はされるが、それほど大きな被害は考えにくい。しかも地下深く埋まる。イラン側もイスラエル側も放射線汚染はそれほど気にしていない。バンカーバスター自体は普通に使われているので、今や誰も驚かない」(黒井氏)

バンカーバスターの開発が進んだきっかけ
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