このような暗殺を繰り返す存在であるが、小谷教授によると「彼らのおかげで、イスラエル国内でテロが起きたりしないということで、国民はそうした情報機関に高い支持を与えている」のだという。

 当のネタニヤフ首相は、暗殺について「イスラエルは必要なことをしてきた。(ハメネイ師の暗殺は)紛争を激化させるのではなく、終結させるものだ」と肯定するが、国際刑事裁判所はネタニヤフ首相に対して、ロシアのプーチン大統領とともに、戦争犯罪や人道に対する犯罪の疑いで逮捕状を出している。

 ネタニヤフ首相の思想について、国際政治学者の舛添要一氏は「ネタニヤフは自分の政権を維持するためだ。危機を作り出して、自分の政権を確保するのが一番の目的。『目の前に敵がいる』ということは非常にやりやすく、イスラエルを国家と認めていないイランの最高指導者を殺害することは、イスラエルの政治的発想からいくと筋が通っている」と考察する。

暗殺肯定の背景に「防衛本能」
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