エリート街道の“キャリア官僚” なぜ人気低迷?
【映像】総合職受験の学生が目指す主な府省庁
この記事の写真をみる(3枚)

 5月、キャリア官僚の「春の採用試験」が実施されたが、その倍率や申込者数は過去最少を記録した。東大をはじめ、キャリア官僚の“なり手”である学生に今、なにが起きているのか。

【映像】総合職受験の学生が目指す主な府省庁

 キャリア官僚とは国家公務員の幹部候補である総合職のことで、2025年度春の国家公務員採用試験のうち、総合職の試験申込者は1万2028人だった。試験の倍率は6.7倍と、申込者数・倍率共に過去最低を更新した。

 春の国家公務員・総合職試験での合格者の出身大学でトップを走ってきた東京大学でさえも、年々合格者を減らしている。

 かつてはエリート街道そのものと考えられていたキャリア官僚だが、今の学生にはどんな傾向があるのだろうか。

 受験をサポートするTACの川合正裕氏は、このように述べる。

「大学生の数はここ数年変わっていないにもかかわらず、受験者数や申込者数が減ってきているのは、公務員を受けるより、民間企業で働く選択をする人が多くなってきている」(TAC・川合正裕氏、以下同)

 民間企業へ目が向くようになった理由には、お金も関係しているという。

「コンサルや外資系金融機関など、東大生に見合うと本人たちが思える職業がそれ(官僚)以外にも選択肢が増えてきた。報酬も含めて対価と本人たちが考えるものが見合ってきてないと考えるから、なかなか(官僚を)選びづらくなってきている」

 多様化した選択肢を学生は冷静に見極めているなかで、志望する学生が減っていない官庁もあるという。

「財務省・経済産業省・外務省・防衛省・警察庁、5大省庁と呼ばれる省庁などは、以前に比べても人気が低下した印象はない。逆に言うと、自分の希望官庁と違うところで採用された人の中には、『だったら民間の方がいい』と考える人は多い」

就活の早期化の影響も…
この記事の写真をみる(3枚)