なぜ大音量の音楽を流していたのか。出口氏は「大音量で音楽を流し、人の注意を引きつけ、相手に因縁を付けていくきっかけを作る。それを本人が積極的に探していたところが、ひとつ大きな特徴になる」と指摘する。「(八田容疑者は)被害感や疎外感が強いタイプだろう。『専守防衛』で、自分の方で最初に攻撃を仕掛け、相手を力ずくでたたきのめす中で、自分の中の征服感を満たし、被害感・疎外感に基づく自分の卑屈な気持ちを晴らしている」。

 こうした傾向は「多種方向犯」と言われるタイプで「自分に降りかかってくる問題を、全て犯罪で解決しようとするタイプ。社会の中で受け入れられているという自信が持てない。『人が自分のことを見下しているのではないか』とか『自分に対して何か攻撃を仕掛けてくるのではないか』というおびえは必ずあっただろう」と推測する。

 そして、「途中のきっかけづくりまでは、本当に行きずりの人をねらっていくような感じ。そこから先は、相手に対して不満を持ち、怒りを爆発させて一気に殺害していく、殺人の中では非常にまれなレアケースだ」と評した。

事件当日の八田容疑者の“空白の時間”
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